【書評】仕事は楽しいかね

「今の仕事を何気なく続けているけど、将来が不安」
「最近、終身雇用の崩壊が叫ばれるようになって身近に副業を始めた人が何人かいるけど、自分はこのままで良いんだろうか。」

2020年初頭から長期化する新型コロナウイルスの影響によって私たちの様々なネガティブな変化を生み出しました。将来について漠然とした不安を抱える方もいらっしゃると思います。今回紹介する著書は、そんな方へ特にオススメの一冊となります。

タイトル:「仕事は楽しいかね?」
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あらすじ
本書は2人の登場人物のストーリー形式で話が展開されています。

登場人物は2人です。


サラリーマン(私)
年齢は30歳半ばで、そこそこの給料がある
既婚&子持ち
コツコツと働くが長年出世ができない

仕事に関して他人に誇れるものがこれといってない。

マックス・エルモア
・起業家、発明家として富を築く、70歳手前ほどの男性
・周囲に明るく振る舞い、人に好かれる

・起業家や政治家などと親しい間柄にいる

ある日、吹雪で飛行機のフライトがキャンセルになった空港で足止めをくらっている中でしがないサラリーマン(以下、私)が1人の老人(以下、マックス)に出会います。

楽しみにしていた用事がキャンセルとなり不満げな私は、気さくに話しかけてくれたマックスを無下にあしらいます。
その後、ひょんなことからその老人が著名な実業家であることを知り、自分のしたことを後悔する私。

その後、思いがけずマックスが私に再び話しかけ、物語がはじまります。
本書は老人のマックスが私に一貫して教えを説くという流れで話が進んでいきます。

試してみることこそが、成功への大きな一歩。
この一言が、本書の思想の根底に流れている言葉です。
偏差値の高い高校、大学、良い会社、良い生活、良い老後…。
私たちは人生のほとんどすべてを、平均以上のものを手に入れるためにレベルアップし続けることを意味します。

レベルアップそれ自体は決して悪いものではありません。
ですが、レベルアップに熱心になることに引き換えて、私たちは大切なものを失いました。
それが、”試してみること”です。

人生において、多くの人が一日24時間のうち3分の1以上を仕事に費やしています。
その膨大な時間を楽しいと思えるかどうかは、人生をより充実したものにさせられるかどうかを左右する大切な要素となりえます。ですが残念なことに、やりがいを持って日々の仕事に取り組めている人は少数なのが現実です。

“スタグフレーション”という言葉をご存知でしょうか。
この言葉は”スタグネーション=停滞”、とインフレーションを合成してできた経済用語です。
1970年代の石油危機をきっかけに多くの国がこのスタグフレーションを経験しました。
従来、インフレと景気停滞は同時に起こり得ないと考えられましたが、この時期多くの国がこのスタグフレーションに陥りました。

そしてマックスは、現代社会でこの現象が社員レベルで発生しているといいます。
つまりどういうことか。
人々はしたくもない仕事をし、同時にそれを失うことを恐れるのです。
「仕事がつまらない」、「退屈だ」という不満を抱えながらも、「会社をやめるのは怖い」
という感情から、不安を受け入れてしまうのです。
そして結果的に不安と退屈の両方を抱えながら無為に時間を過ごしてしまいます。
基本的に、それまでにかけた時間がながければ長いほど、元の流れに戻ろうとする力は強くなり、新しいことを試そうという気力は弱くなります。これが、現代社会のスタグフレーションの意味で、私たちの周囲あらゆるところでこういった状況に陥った方を見かけます。

明日は、今日と違う日になる & 偶然は発明の父
突然ですが、リーバイ・ストラウスという人物をご存知でしょうか。
20世紀に行商人として働いていたストラウスは、カリフォルニアで金が採掘されることを知ると、鉱夫に必需品を販売しました。
計画は大成功。飛ぶように商品が売れました。たった唯一どうしても売れなかったものを覗いてですが。
売れなかったもの、それは”テント用の汚い帆布”でした。たしかに鉱夫が帆布を必要だとは考えづらいですね。
ストラウスは賢明にいくら賢明に営業をしても売れません。どうしたものかと考えあぐねていたとき、彼は市場で品薄になっているものの1つにズボンがあることに気づきました。
そこでリーバイスはどれだけ頑張っても売れなかった帆布を使ってオーバーオールを作って再度売りました。
同じ素材からできているのに、こちらは大盛況で売れました。

みなさんも一度は見聞きしたり履いたことがあるであろうリーバイスのジーンズやデニム。
その始まりはたった1人の挑戦だったんです。

この話は遠い過去の話ですが、現在に至るまでの教訓が多く含まれているとマックスは言います。

つまり、全ては偶然の連続なのです。
先述したスタグフレーションに陥っている多くは、石橋を叩き続け、結局渡れないのではないでしょうか。

ですが、新型コロナウイルスや国際情勢の荒波に揉まれる時代の中で、多くの人が
「計画通りに進むものなどない」
と気づき始めています。

マックスは言います。
目標に関する私たちの問題は、世の中は私たちの目標が達成されるまでじっと待っていたりしない、と。
堂々巡りの日々をなんとかやり過ごす私たちを横目に、時代や置かれる環境は次々と変化していきます。

過去を振り返ってみても、何もしなければ成功はありえません。
なにか実行に移したとしても10回のうち9回はきっと失敗するでしょう。
ですが、残りの1回は成功するかもしれない。その事実が変わらないのなら、変わるべきは私たちしかないのですね。

それでもなお試してみることに躊躇がある方、ここで2つ朗報があります。
1つ目が、私たちの人生は私たちが思っている以上にうまくいくはずがないこと。
2つ目は、私たちの根底には試すことを楽しむ感情が流れていること。
です。

これまでの私自身の人生を振り返ってみても、自分の望んだとおりの結果になったことは数えるくらいしかありません。その反対は数え切れません。

勝手な推測で恐縮ですが、みなさんも多かれ少なかれ私に同意してくださるのではないでしょうか。

ですが、それで普通なのです。
マックスは、人生は思い通りにならないことの連続で、あちらこちらに飛び跳ねることで新しい発見があり、規則から外れたところから得られる教訓がたくさんあると言います。

私にもこの経験があります。それは子供時代。
例えば、夢中になって攻略方法を考えたテレビゲーム。
初めは攻略方法がわからなくて諦めそうになりながらも、ありとあらゆる方法を試した結果攻略できたときの達成感。
今はスタグフレーションに陥ってしまっている方でも、何かしら思い当たる節はあるのではないでしょうか。

私たち人類がこれほどまでに発展できたのは、きっと試すことが大好きだからでしょう。
現在私たちが享受している豊かな生活の裏には、何度も失敗しながら試し続けた先祖たちの挑戦があったのです。そして、そのDNAを引き継いでいる私たちのDNAにも、きっと流れているはずです。
そして、遊び心をもって試すことを続けるうちに、生まれ変わった自分になっているのです。

完璧などない、あるのは完璧以上を目指す姿勢だ。

ここまで読んでくださった方の中には、次のような反論を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「試してみることの大切さはわかった、でもあらゆるものが過剰になったこの世の中で頑張り続けても消耗するだけだ」と。

その事実は、まさにマックスも指摘します。
昔は特権階級であった知識労働者層が大幅に増え、またグローバル化の流れの中で私たちはこれまで以上に多くの競争を強いられ、企業は価格競争に振り回されています。有能なのに月並みな仕事ばかりして定年を迎える人がたくさんいて、気の滅入る時代ですよね。

この状況下で必要なのは、そういった閉塞感を吹き飛ばすようなマジックだとマックスは説きます。
そして、そのマジックが舞い降りるのは、完璧のそれ以上を求め続けたものだけだと。
常に相手が求め続けることを考え続けることは大変なことです。
ですが勘違いしていただきたくないのが、これは長時間労働をしろ、という話ではないのです。そんなことをすればたちまち熾烈な競争環境に逆戻りしてしまいます。
そうではなく常に感性を研ぎ澄ませ続け、自分の前を通り過ぎようとしているチャンスやアイデアを素通りさせず掴み取ること。これらを掴み取る絶対条件こそが、完璧のその先を求める、の意味です。

そしてそれができてこそ、新たな扉を開くことができるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。以上が本書の簡単な紹介になります。

今回私が紹介したもの以外にも多くのわかりやすい例を用いて説明がなされていました。
ページ数は200もなく、スラスラと読めますので、ご一読してみてはいかがでしょうか。

目次
第1章 仕事は楽しいかね?
第2章 人生とは、くだらないことが一つまた一つと続いていくのではない。
一つのくだらないことが<何度も>繰り返されていくのだよ。
第3章 試してみることに失敗はない。
第4章 明日は今日と違う自分になる、だよ。
第5章 これは僕の大好きな言葉の一つなんだ。「遊び感覚でいろいろやって、成り行き見守る」というのがね。
第6章 必要は発明の母かもしれない。だけど偶然は発明の父なんだ。
第7章 目標に関するきみの問題は、世の中は、きみの目標が達成されるまで、じーっと待っていたりしないということだよ。
第8章 きみたちの事業は、試してみた結果失敗に終わったんじゃない。試すこと自体が欠落していたんだ。
第9章 あの実験で学ぶべきことはね、「あらゆるものを変えて、さらにもう一度変えること」なんだよ。
第10章 それはね、「あるべき状態より、良くあること」なんだ。
第11章 もし宇宙が信じられないような素晴らしいアイデアをくれるとして、きみはそれにふさわしいかね?
第12章 覚えておいてくれ。「試すことは簡単だが、変えるのは難しい」ということを。
第13章 新しいアイデアというのは、新しい場所に置かれた古いアイデアなんだ。
第14章 きみが「試すこと」に喜びを見い出してくれるといいな。

ここまでお読みいただきありがとうございました。